E 一点豪華主義を楽しむ

E-1 白壁とプロジェクター

 

 「美術館やスタジオにあるような白くて大きな壁」 は、清潔感と広がりを感じさせてとてもきれいです。

 家の中に、こうしたちょっと日常からスケールアウトした場所を持つと、特別な雰囲気が生まれて特徴のある家、インテリアになります。


 この白い壁が、プロジェクターのスクリーンになったら楽しいのではないでしょうか。水族館やアフリカの夕方が家の中に出現するかも知れません。

E-2 ピクチャーウィンドー

 

 窓には採光と通風、そして防犯という重要な役割があって、機能性が求められています。特にアルミサッシは軽さや気密性を追求しているため、その印象はまさに工業製品で潤いというような言葉とは距離があります。

 

 窓をこうした機能から解放して、「見る」という目的だけに特化したときに、それはとても美しいピクチャーウィンドーになります。見えるのが豊かな自然でなくても、「見る」という単純な目的を感じさせることで、きりっとした印象を醸し出します。

E-3 北側採光

 

 アトリエの採光は北側面が適している、ということを学校で習って憶えている人も多いでしょう。 でも、自分は絵描きではないし、北側は陽が射さないので小さな窓で充分だ、と考えていませんか。

 確かに窓は熱を逃がしやすいですし、隣の家を覗かないように、という配慮が必要なのもよくわかります。でも、北側は陽が射さないから、暗くなりがちだからこそ大きな窓を必要としている、という考え方もあります。

 

 そこで断熱とプライバシー保護を意識して、不透明の複層ガラスを高い位置に連続して設けると、柔らかい光が安定的に得られてとても落ち着いた家になります。
 ちょっと懐かしく感じるのは、昔の家がこうした工夫をしていたからでしょうか。

E-4 スイッチプレート

 

 照明などのスイッチや、コンセントなどのプレートに注目したことがあるでしょうか。

 一般的には、電気メーカーが少しずつ新デザインに更新しているものを、あまり比較はせずに導入しているようです。
 そういったやや地味なアイテムですが、プレートは壁の目立つところにあって、操作のために目標にするものなので、意外と重要かも知れません。

 

 これを変えるとガラっと印象が変わるのは、古い記念建築物などを見学すると実感できます。ちょっと遊べるアイテムともいえるでしょう。

http://we-original.com/?pid=3257498

E-5 フロアスタンド

 

 間接照明がインテリアデザインの常套的な手法となって久しいですが、日常的に点灯している家は少ないようです。

 電気代が(最近では環境負荷も)気になりますし、意外と飽きやすい演出だとも言われます。
 これに対して、フロアスタンドは読書の補助になったり、ベース照明代わりになったりと、使い勝手が良いようです。

 照明器具自体の、彫刻あるいは工業デザインとしての作品性にお金を使うのも楽しいことでしょう。


 フロアスタンド選びを、家の完成後の楽しみにするのも良いのですが、コンセントを適所に配置しておかないと残念なことになるので注意が必要です。

E-6 ダイニングテーブルの製作

 

 ダイニングルームのデザインを考えるとき、とても難しいのがダイニングテーブル選びです。テーブルは建物の一部のようでもあるため、床壁との相性がとても気になります。なかなか部屋に溶け込むような一体感のあるものは見つからなくて、過剰なデザインがされていたり質感の調和に欠けていたりすると、ダイニングルームはなかなか映えません。


 これを避けるためには、テーブルを建築と同時に作ってしまうことが有効です。
 材質やディテールばかりでなく、幅や長さのサイズを部屋に同調させる効果にはとても大きなものがあります。コストは制作の方が高くなりがちですが、検討に値すると思われます。

E-7 連窓・段窓

 

 一般的に窓を考えるときには、位置と大きさ、そして開き方を気にしています。この時に二つの窓を組み合わせることはなかなか思いつきません。

 

 連窓とは、二つの窓を左右に連結するもので、開閉する窓と固定された窓というように、違った働きの窓を並べることがあります。段窓は、上下連結です。


 バルコニーやテラスのない窓を掃き出しにすると危険なので、腰窓にするのが普通です。しかし腰窓は小さくて暗くなる場合があるので、段窓で下のガラスをはめ殺し(固定)の不透明にすれば、明るく安全で、足元も外から見えない機能的な窓になります。
 そして、そうした工夫によって、お仕着せに見えた窓がとても個性的で部屋にあつらえられた窓に変貌するのです。

E-8 ハンモック

 

 アマゾン河の格安旅行者は、錯綜するハンモックで睡眠をとるそうです。
 それは虫のいそうな床から離れたい欲求やスペースの倹約などいろいろな理由が推察されますが、何と言っても大きな理由は涼しいからでしょう。

 熱帯夜に、少しでも暑さを紛らわすためにベッドのあちこちを移動した経験のある人なら、すぐにわかる感覚です。

 

 ハンモックは簡単に使えそうでいて、なかなか難しいところがあります。庭では適当に離れた丈夫な2本の木が見つかりませんし、室内でもフックを不用意なところに固定できませんし、ハンモック自体がなかな長いため場所も確保しにくいのです。
 夏の昼寝用にしっかり計画して、構造体にフックを付けておくのも楽しい仕掛けです。ハンモックの専門店でいろいろ教えてくれます。

http://www.hammock2000.com/

E-9 長火鉢・コールドテーブル

 

 ある大手キッチンメーカーのセミナーに参加したとき、ベテランのチーフデザイナーが、
「私は毎晩長火鉢で食事をしています。」と、面白おかしく明かしてくれました。

 ある年齢からは、炙って食べるものと適度なお酒が一番体に良いからだそうです。
 そっくり真似ないまでも、ダイニングテーブル以外で熱いままのものを食べるのはとても贅沢ではないでしょうか。

 

 コールドテーブルとは、業務用冷蔵・冷凍庫で机状のものを言います。
 一般向けの個室用冷蔵庫に高さが50㎝程度のものがあるので、同じ高さの箱と並べれば、長火鉢にちょっと似た個室用コールドテーブルができます。ロフトなどに置いてあると面白いかもしれません。

E-10 BGM

 

 通常、スピーカーは壁の一面に置かれますが、BGMの場合は配置が散らされることが多いようです。音はとても指向性が強く、BGMのような小さな音の場合、背を向けたときに聞き難くなるための配慮だと聞きます。


 どこから聞こえるかよくわからない、部屋がスピーカーになった感じは、とてもリラックスした時間を与えてくれます。天井や部屋の対角に据え付けるとき、配線が露出しては興ざめですから、電気工事と合わせて先に配線しておきましょう。

E-11 寝室の洗面台

 

 ヨーロッパの古くて安いホテルに泊まると、四角い部屋にベッドと洋服タンスと物書きテーブル、そして洗面台が無造作に置かれていることが多いようです。

 殺風景に見える場合もありますが、必要なものをシンプルに並べた部屋は、飾りのない「暮らし」を見せているようでもあります。


 特に、寝室に洗面があるとベッドに腰かけて歯磨きができて、とても便利で自由な感じがします。少し前までは、なかなか寝室に置けるような洗面器がありませんでしたが、最近はデザインされたものが廉価で手に入るようになったので、検討してみたいものです。